❤︎天使のような君であれ

SS_蓮根

※スることに慣れて来たけどまだ小悪魔じゃないビジョンくん。ピュア騎乗位を目指した。

「人木さん、たまには私があなたを攻めてみても良いですか?」
「はい?」

ベッドの上で押し倒した相手からの一言は突拍子もない内容だった。キスをして、愛おしく頬を撫でて、寝かせるように丁寧にベッドに導いた恋人から聞くには場違いな提案だ。自分が何かを間違えたのではないか?

「あの……なんか良くなかったでしょうか?」
「いえ、そうじゃなくて。人木さんにはいつもリードしてもらっているので」

ビジョンはわざわざ自分の肩をよいしょと押し返し、お互い向き合う体勢になってからにこりと笑う。

「いやいや……攻めるって言っても人間の方は時間がかかるからさ。今日は、普通にシない……?」

自分がビジョンに抱かれる。ビジョンもアンドロイドとはいえ、彼の自認は男性である。恋人が抱く側に回りたいと言い出してもおかしくはないとは考えていたが、今日は無理だ。なんとか説得してなだれ込むしかない。あと、せっかくいい雰囲気になったから早くシたいし。

「時間……?私の方で全部しますよ?」
「ヤだよ!!いきなり後ろ弄り回されたくないって!!」

騒ぎ立てたのも束の間、ビジョンはまるで生まれたての子犬のようにこてんと首を傾げた。

「後ろを弄る……?そんなことしないですよ」
「えっ?」
「体位を変えてシたいんです」

驚いて固まっている間にビジョンはそさくさと服を脱ぎ始める。そして一糸纏わぬ姿になると、自分の膝の上に跨った。

「私だけ脱いでると恥ずかしいですね……」

はにかみながらも、ビジョンの瞳には情欲の熱が灯っており、ねぶるような視線が蛇のように俺を捉えていた。

「俺、これから何されるんです……?」
「大丈夫ですよ、私に任せてください」

だから説明してくれって!!

そう喚くと同時にズボンのチャックが下ろされ、下履きを捲られる。ゆるりと熱を持った自身が取り出され、ビジョンの両手に包まれると直接的な刺激に身震いした。

「っ、うぁっ……!」
「ちょっと勃ってるけど、これだとまだ入らないですね」

ゆるゆると手のひらで弄ぶと、ビジョンは俺の膝上から降りて股間に頭を下ろす。

「んむ……っ、ちゅ……はぁっ、んっ……」

躊躇なく先端にキスをし、モノを口に含むとゆっくりと喉に向かって飲み込んでいく。最初の頃はもどかしく舌を這わせることでビジョンは精一杯だったが、体を重ねることに慣れた今は、躊躇なく自分の弱いところを攻めてくる。

「っ……はっ、ビジョン……っ」
「ふぅ……ッ、んむっ、んぐっ……はぁ……」

一糸纏わぬビジョンが、跪いて自分のモノを必死に舐めている。股間以外は露出していない自分と比較して、当たり前だが目の前の肌色が多いなとふんわりとした煩悩が顔を出す。
ビジョンは口元を自身から放し、うっとりとしたように艶やかな息を吐いた。

「反応、してくれて嬉しいです。ふふ……」
「攻めるって、口でするってこと………?」

快楽によって夢心地に引きづられるまま、情けなくビジョンに聞いてみる。

「お楽しみですよ、人木さん」

再びビジョンが自分の膝上に上り、彼に見下ろされる。恥ずかしそうにビジョンは微笑み、鼠蹊部をモノに擦り付けながら深く口づけをしてきた。

「んっ……はぁっ、私が、今日は人木さんを気持ちよくしてみたいんです」

彼によってそそり勃たされた陰茎の先端を掴まれ、くぐもった声が漏れてしまう。ビジョンは先走りを弄びながら、ソレを自身の後孔に当てがった。この体勢になって、ようやく彼がやりたがっていたのは騎乗位だということに気がつく。

「あの、最初から言ってくれても良かったんじゃない……?」
「……ドキドキしてほしいなって思って」
「どっちかというと、何されるのか不安でしたかね……」

ビジョンは「うーん、人木さんにドキドキしてもらえるように別のやり方を考えてみます」と笑って前向きに締めた。これからスることは性行為なのに、まるで学校の優等生のような返答だ。

「それじゃあ、今から中に挿れていきますね。んっ………」

後孔に当てがわられた先端が、ビジョンの中に導かれて行く。切なげに眉を歪めながらも恍惚に浸り、熱っぽい吐息のような声を漏らすビジョンはアンドロイドであることを忘れるくらいには艶かしい。

「はぁっ……んっ、あっ……ッ、ぁ……っ!」

雁がすっぽりと柔らかい内側に誘い込まれ、期待に喉を鳴らす。しかし、ビジョンはモノ全てを収める前に動きを止めてしまった。

「うぅ……いつもこんな奥……?」

ビジョンが首を傾げながら腰をゆるりと振る。しかし、決して全てを奥には納めずに止まってしまった。

「あれっ。ビジョンさん?」
「うぅー……」

決心がつかないでいるのか、ビジョンは赤子がぐずるように唸っていた。こっちとしても中途半端だ。イタズラ心が湧いてビジョンの尾骶骨を指先でなぞってみた。

「ひぁあっ……!?」
「俺の、いつもビジョンのここまで挿れてるよ?」

指でくるくると円を描くと、ビジョンはわずかな刺激でも感じるのか背筋をのけぞらせる。

「あッ……もう、人木さん……!」
「ほら、もう少しだから頑張って」

トントンと指先を鳴らし、ビジョンを覗き込むとムッとしている顔と目が合う。

「ビジョンが今日はリードしてくれるんでしょ?」
「……わかってますよ」

半ばムキになって、ビジョンは動き始める。

「はぁっ……んっ、んうっ……!」

再びビジョンは自分のモノを中に受け入れ始める。もどかしい動きで自分のブツが飲み込まれていくのを眺めるだけではつまらない。

「ほら、ビジョンさん。早く早く」
「うぁッ……!?」

目の前で放置されているビジョンのモノを軽く指先で弾いてみる。「人木さん!!」とビジョンに怒られるが、全く怖くない。

「えっ……あっ……ッ〜〜!」

集中が途切れた拍子に、ビジョンの腰が下まで降りたようで自分のモノをすっぽりと収めたようだった。

「はぁッ……うぅ……人木さん……っ!」

ビジョンは怒っているつもりのようだが、快楽で惚けた顔では可愛らしい抵抗でしかない。

「ほら、まだまだ頑張らないと」

ビジョンの尻を叩くとペチペチと間の抜けた音が鳴る。アンドロイドの尻も人間と触り心地が大差ないのだなと、どうでも良いことが頭に浮かんだ。

「うぅ……はぁっ、はっ……!」

ビジョンは緩慢に腰を上下に振り始める。己の膝上は小刻みに振動し、ビジョンのモノが腹に当たっては跳ね返る。

「はぁっ……ビジョン、っ……」

思い通りにいかない抽挿に最初はままならなさを感じていたが、ビジョンのペースは段々と速まっていき、自分ではなかなか成し得ない激しさを伴っていく。

「はっ……はぁーっ……ッ、ぐぅっ……ビジョン」
「んっ、はぁっ……はッ、人木、さん。気持ちよくなって……ッ、んっ、きました、か?」

肌同士がぶつかり合う乾いた音が休まず響いてくる。
体全体を使って自分を揺さぶらせてくるにも関わらず目の前の全裸のアンドロイドは、体表に汗ひとつ浮かばない。自分の方は芯から熱を帯びたした全身から汗が吹き出してきて、皮膚を伝う液体が煩わしいほどに自分が人間なのだと訴える。

「はぁっ、ビジョン、さん。ペース落として、よ」 

このままじゃあっという間に果ててしまう。ビジョンの腰に手を伸ばすと、手のひらをがっちりと恋人つなぎのように掴まれてしまった。ビジョンは手の甲に口づけを落とし、楽しそうに微笑む。

「人木さん、このままイッていいですよ」

背中を抱き込まれ、耳元で吐息ごと甘言を吹き込まれる。絞られように深くビジョンの中に自身がねじ込まれ、耐えきれず喘ぎが漏れる。

「はぁっ、ビジョン……ッ、もう…ッ、出る、からッ……」
「んっ……このまま…はぁっ、人木さんの、ください」

射精に伴う快楽に襲われ、頭が沸騰したように思考は真っ白に塗りたくられる。ビジョンもまた、吐精したのか腹部に生暖かい液体がかかるのを感じた。息を整えていると甘ったるい余韻を慰めるように唇に何度も軽いキスが降り注ぎ、息をする暇を奪われる。

「ビジョン、もういいから……んっ」
「はぁ……っ、気持ち、よかったですか?」

ビジョンは随分とご満悦なのか、自分の頭を撫でながら酔っ払った時のようにニマニマと微笑みかけてくる。

「よかったデス、はい……」

あとは、自分がやるよりぶっちゃけ楽だった。成人男性一人分を膝上に乗せてるのでちと重いが。

「ふふ……ね、人木さん」

耳たぶを軽く柔い唇で挟まれ、ビジョンが熱っぽい声で囁く。

「もう一回、してほしいです。今度は人木さんが動いてくださいね」

ビジョンは天使のように笑みを浮かべながら、悪魔のようなことを言う。
このまま美味しいところだけ頂いて、ごちそうさまと手を合わせるほど都合良くはいかなそうだった。