※前回人木さんに執事服を着せてプレイしたが、お前が着ろ!と人木さんに怒られたのでビジョンくんが着ることになった海ビ。
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「お望み通り、着ましたよ」
「元はといえばお前の趣味だろ!!」
黒い燕尾服に身を包んだアンドロイドは、くすりと微笑むと目の前でくるりと衣装を見せるように回転した。
「似合ってます?」
正直言うと似合っている。というか、どう考えても自分のようなアラサー男ではなくビジョンのような美形が着た方が様になるに決まっているのだ。
「人木さんにまた着てほしかったのに」
ふてくされたようにビジョンは呟くが、また機会があればねと適当に返事をした。ないことを願う。
「ご主人様って呼んであげましょうか?」
「いいけど……」
ご主人様と呼ばれるのはやぶさかではないが、どうしてこのアンドロイドはこんなにもノリノリなんだろうか。
ビジョンは上機嫌そうに口角をあげ、ソファに座っている自分を覗き込んでくる。
「さあ、いかがなさいましょうか。ご主人様」
「うーん……」
命令を求められているだろうが、いかんせん思いつかない。いっそのこと普通にシてほしいと、今更言ってもきっとビジョンに怒られるだけだろう。
「どんなご命令でも良いですよ。ご主人様のしたいこと何だってします」
「それじゃあ……」
プレイとはいえ、自分は命令したい欲はあまりないが思いつきを素直に口に出してみることにした。
「ビジョンが一人でシてるところ見せてほしい」
「……はい?」
予想外の命令が返ってきたからなのか、ビジョンは怪訝な表情を浮かべていた。しかし、言葉の意味を理解し始めたのか、戸惑ったように目線を逸らし始める。
「あの、どんな命令でも聞くってプレイなのですが、そんなことでいいんです?」
「うん、ビジョンがシてるところ見たいし」
直球に言うとビジョンがあからさまに紅潮したのわかった。恋人になってから、アンドロイドでも頬が染るのだと知ったが、何度も体を重ねている中でも自慰を見せるのは羞恥心があるのだろうか。いたずら心が湧いて、あえて意地悪をしたくなった。
「なんでも言うこと聞いてくれるんでしょ?」
ビジョンと視線が交わることはない。しかし、彼はこくりと従順な僕らしく頷いたのだった。
***
「はぁ……んぅっ、あっ……」
手袋越しに自分のモノを懸命に擦るビジョンを、ソファから悠々自適に鑑賞している。たまに恨めしそうな視線が飛んでくるが、気にしない。
燕尾服の前を寛げ、性器だけを露出させた光景は清貧な従者のための服には似つかわないだろう。
「人木さんっ……!もう、いいでしょっ、はぁっ……」
「あれ?ご主人様って呼んでくれるんじゃなかった?」
こんな命令にすら従順なビジョンに、愛おしさを感じながらも加虐心めいたものが芽生える。いくら執事服でのプレイだからと言っても、本当に嫌だったらいくらでも命令は無視できるはずだ。
「ご主人様……っ、はぁっ、あ……ッ、うぅ〜……っ」
必死にこちらを睨みながら、自身を慰める手を動かすのはやめない。先走りが手袋に滲み、濃い色を作っても、自分は手を出さない。良い眺めだ。
しかし、ビジョンはなかなか絶頂に至ることはない。1人でするのは慣れていないのか、それとも見られながらイクのは嫌だから我慢しているのか。
「はぁっ、んんっ……足りない……」
ビジョンはおもむろに口で手袋を外すと、下履きを脱ぎ始める。急いで脱いだせいで中途半端に下半身ははだけ、手袋のない手は後ろに回される。
「はぁっ……あっ……!んっ、んんッ……!」
前だけの刺激だけでは物足りなかったのか、後ろに指を入れ始めたらしい。無意識に唾を飲んでしまい、自身のモノが反応し始めるのを感じる。
「はぁっ……ご主人様……っ、あっ……んあっ……っ!」
ビジョンは乞うように俺を見つめてくる。情欲を求めた瞳で、性器と後孔を必死にいじりながら絶頂の快楽を求めている。
ビジョン、と名前を呼びたくなってもそれが合図になってしまうような気がして口に出せない。彼には今、1人でスるようにと命令してあるのだ。
「ねぇ、人木さん」
ビジョンは目を細めて、俺に問いかけてくる。
「命令、しなくて良いんですか?」
自分を気持ちよくしてほしいって。
ビジョンは神話の蛇よろしくに誘惑の言葉を口にする。しかし、命令した側がすくに降参しては格好がつかないし、実際一人で達するビジョンを見てみたくもある。
「……いや」
ビジョンはゆっくりとこちら近づいてくる。そして綺麗な顔で微笑んだ。
「だって、あなたはご主人様ですから」
「……うん」
俺は立ち上がってビジョンの肩を押す、彼は期待を隠さなくなったのか恍惚とした様子でキスをしようと顔を近づける。だが、それを押し除け再びソファへと座らせた。
「……えっ」
「ビジョン、そのまま続けて俺の隣で」
ビジョンは下半身をはだけたままで、ポカンと俺を見ている。そして以前とビジョンのモノは天井を向き、今か今かと解放を待ち続けているままだ。
「そんな……ひどいです」
ビジョンは泣きそうな顔で見つめ返してくるが、俺が無言なのを察して再び自慰を始める。別に自分はSではないが、簡単にビジョンの誘惑に屈する、もとい甘えるのもいつも通りすぎるのだと思ったのだ。
「ビジョンも、その方が感じるんじゃない?」
それっぽく言ってみるかと精一杯Sなご主人様を演じようとするが、これに関してはあまりできているかよくわからない。とはいえ、自分もどこまで持つのかはわからないが、性行為でビジョンに煽られる事も多くなってきたためたまには意趣返ししてみたいものだ。
「人木さん……の、意地悪っ……!」
「ほらちゃんとご主人様って呼ばないと」
「あっ……!?ッ」
ビジョンのモノの先端を軽く弾くだけで、面白いように身悶えた。恨むような視線を向けられても気にしない。いっそのこと主導権のある今を楽しんでしまおう。
「ぅう〜〜〜っ……!」
ぐずるように唸るビジョンは懸命に自慰をしながら、自分の肩に寄りかかってくる。何度も人木さん、人木さんと乞うように名前を呼ぶ。
「どーする? 降参します?」
のんきなふりをしながら、相手に求められるための餌をまく。これならビジョンと、自然にヤる流れになるだろう。しかし、ナメくさっていた俺の思惑は打ち砕かれることになる。
「おわっ!?」
ビジョンがおもむろに耳にかぶりついた。もちろん、軽く歯で挟む程度のものだが、そのまま耳たぶに舌を這わされる。耳うらを形にそって往復すると、そのまま耳の中へ舌が侵入してきた。
「ぅあっ……、こんなことっ、しろなんて……ッ言ってないだろ!!」
「んむ…、はぁっ……するなとも言われてないですよ?」
「おい……やっ……あっッ!っくぅ、……ッ」
制止する前に耳を攻められ、命令はかき消される。きっと俺に何もさせないつもりだろう。こんなの意地悪だ。
「んぅ……ぺろ、はぁっ……♡」
「あっ♡、ひっ、ビジョン……っ♡こうさ、降参だからっ!」
ぴちゃ、と耳から唾液を含んだリップ音が聞こえ、生暖かい舌が離れていく。ビジョンは俺の顔を覗き込み満足そうに微笑んでいた。
「ご主人様、もういいんですか?」
お前のせいだよと言う前に、ビジョンは俺の膝にまたがり、ズボンのチャックを下ろすと筋の浮き出る俺のモノを取り出した。さらにビジョンは、自身を寄り添うように俺の怒張にピッタリとくっつけた。ビジョンのは完熟前の桃のような淡い色味をしており、使い込んだ自分のものより綺麗に見える。
執事が、俺を見下ろしながら弧を描くように目を細める。
「ご主人様、次のご命令を」
唇はまるで彼の下僕のように、自然と“命令“を口にした。
