♥独占欲

SS_エリー

※人木が勝手に一人で盛り上がって勝手に一人で怒っている。ビジョン君は可哀想。ごめん。
※ネチネチしている。嫌だね。
※♡喘ぎをしている。


「人木さん、何かクリーニングに出す物はありますか?」
「クリーニングか……。冬物のコートとかはもう着ないかもな」
「近々行こうと思っているので、出す物があればそこに置いておいてください」
ビジョンが指した方を見れば、既にいくつかの衣類がそこに積まれていた。その中には、いつもビジョンが着ているコートもある。

「普段スパローで着てるやつもクリーニングに出すの?」
「ええ。実は近所のクリーニング店から割引のクーポンが発行されたので、この機会にまとめて出そうかと」
「ふぅん……」
クリーニングに出すという事は、その前であれば汚れてもよいのではないかと不純な考えが浮かぶ。

「あのさ、ビジョンさん」
「はい」
「スパローの制服を着た状態でシません?」
「え?」
「駄目かなあ……?」
「駄目……というより、これのどこが良いんですか?どこもえっちな感じじゃないですよ?」
「いつものお前だから良いんじゃん。それにいつもだって着ながらスる訳じゃないし……。仕事の時の服だからこそ、背徳感があって良くない?」
とりあえず理由を思いつく側から挙げてみたが、どうだろうか。
「……」

「それってえっちすぎません?」

よし、と心の中でガッツポーズをする。真面目な顔で考え込んでいたアンドロイドの共感も得られたようだ。
「分かりました、この服でシましょう」
そう言うと、ビジョンはクリーニング予定の衣類の山に向かって行ったのだった。

※※※

「……これでいいんでしょうか?」
室内だというのに、スパローのコートに身を包んだビジョンが、ベッドに腰掛けている俺の膝の上にまたがる。一方で、身綺麗にした後こちらは部屋着に着替えていた。
「いつも着てるじゃん」
「それはそうですけど、本当に着たままするんですか?コートは脱いだ方が……」
「!んっ」

返事をするのが億劫になり、ビジョンの唇に自分のものを重ねると、舌を潜り込ませる。
「ん……っ、はぁ……、んん……はっ……」
静かな部屋にぴちゃぴちゃと水音が響く。顔を離すと、息を整える間すら惜しむようにビジョンの首筋に吸い付いた。
「ひっ」

(やばい、いつもより興奮する)
スパローで、皆に”レオさん”と呼ばれ、頼られ慕われているはずの存在が、俺の腕の中でこちらがもたらす快感の一つ一つに身じろぎをしている。”スパローのレオ”が俺だけのものになったかのように錯覚し、自身の身体がいつもより昂るのを感じていた。

「あっ、人木さん、押さないで……っ」
気づけば、早々に性器がズボンをテントのように盛り上がらせている。スラックス越しではあるが、無意識のうちに熱をビジョンの後孔にぐりぐりと押し付けていた。
「ビジョン……もう挿れたい……」
返事を待たずに彼のベルトを外しにかかる。待ってくださいと言う声が聞こえるが、本気のトーンではないと都合の良い解釈をし、スラックスを下着ごと中途半端に引き摺り下ろした。
「んっ、んんぅっ♡」
ナカを慣らす真似もせず、硬くなった自身の先端を秘部に当てがうと、キスをするようにこすり付け、この先を強請った。
「ねぇビジョン、良いって言って」

「……いい、ですよ」
「嬉しいね」
「あッ……!うぅぅう……ッ!!♡」

許可が降りるや否や、ビジョンに心の準備をさせる隙も与えず性急に怒張を彼の中に埋めていった。竿全体がぬかるみと締め付けに包まれて気持ち良い。

(俺のなんだ……)
直ぐにでも腰を動かしそうになるが、ビジョンをぎゅうと抱きしめた。肌と肌が触れ合うのも心地良いが、コートに顔を埋め思い切り掻き抱くと、子どものような所有欲が満たされて堪らなかった。

「どうしたんですか?人木さん」
ビジョンはあやすように問いかけてくると、俺の肩に置いていた手を背中に回した。
(今だけは、いいよね)

浮かれながら、腰を動かし始める。
「あっ……♡あッ♡んっ」
律動と共にビジョンの身体が跳ね、突く度に喘ぎ声を漏らす。

「皆が今のお前を見たらどう思うんだろうね?」
「……っ♡人木さんの、意地悪っ……!」
スパローの人たちは知らないはずだ。真面目で純粋なリーダーが、俺に突かれてあられも無くよがってしまうなんて。今、自分は嬉しさから調子に乗って、完全に舞い上がっていた。

「人木さんっ、レオって、呼んでくれませんか……?」
「は?」
ぴたりと動かしていた腰を止めてしまう。こいつ今、なんて言った?

「レオと、呼んでほしいんです……♡」

冷や水を浴びせられたように、熱が急速に冷めていく。なんで、よりにもよって今なのか。せっかく、俺だけのものになったと思い込んでいたのに。あんなにビジョンを求めていたはずなのに、彼の方から遠くに行ってしまう。

どうして、ビジョンのままでいてくれないのか。

「なんで……?」
「その……せっかくこの服を着ているので……」
「仕事の時のように呼ばれたいなと……」

“レオ”には、何か一枚見えない壁のようなものを感じてしまっている。レオの存在を知らぬまま呑気に一年過ごした事も理由の一つなのだろうが、他でもない心ちゃんが付けた名前だからなのだろう。
嫌だと跳ね除けたい気持ちも湧くが、理由を問い正されるであろう事を考えると、この幼稚な独占欲を曝け出す勇気が自分には無かった。

「……今だけでいいから、俺のレオになって」
「え?」
「そしたら、呼んであげる」
「……とっくにあなただけのレオですよ」

ビジョンはふふっと柔らかく笑うと、唇にキスを落としてくる。
(どこがだよ)

既にそうだと言われても、あれだけスパローでレオさんレオさんと呼ばれているのだから説得力は全くと言っていいほど無かった。”俺のレオになって”と頼んだのは自分であるくせに、返ってきた言葉は口先だけの空虚なものであるように感じてしまう。

「んッ♡」
熱が引くと共に、自身の性器をビジョンから抜いた。しかし、気持ちとは正反対に下半身は萎えずに天井を向き続けている。

「後ろ向いて」
「え……?」
「いいから」
「あ……、はい……」
有無を言わさず自分とは反対方向を向かせる。彼の腰を乱暴に掴むと、時間を掛けずに後ろから自身の屹立で貫く。
「あ♡あっ、ぁあッ♡」
ビジョンは基本的に向かい合ってするのが好きなようだが、今は譲るつもりなどさらさら無かった。

「レオ」
「ッ……♡」
やる気なくそう呟くと、露骨にナカが締まったのを感じる。それを打ち消したくて、挿れたばかりだというのに抽送を速めた。
「あッ♡んっ、あ、あッ♡あァっ♡」

(嫌だ、嫌だ)
セックスしてるのにビジョンをレオと呼ぶのは嫌だ。レオと呼ぶと、明らかにビジョンがいつもより感じている様子なのは嫌だ。こんなに嫌だと思うのに、腰を振るのを止められない情けない自分も嫌だ。

「レオ……、レオ……」
「んン〜ッ♡ンっ♡あッ♡」
もはやただ二文字の音声を読み上げるだけに近かったが、ビジョンはいつもより快感を拾っているようだった。
その反応を聞きたくなくて、思い切り腰を打ち付けた。繰り返されるピストン運動の乾いた音が部屋に響く。

「ひときさっ!激しっ♡んんッ♡」

ナカを荒らし回るような動きに気遣いは無く、自分の快感を高めるためだけに独り善がりに腰を振る。彼を所有物のように扱いたい訳ではないはずなのに、目の前の光景と辻褄が合っていない事がまた嫌になる。

「アっ♡あァっ♡あッ♡ひときさん、人木さん、もうっ、イキそっ♡イキますっ」
「……ッ」
竿全体をきつく絞められ、下半身に熱が集まるのを感じる。押し寄せてくる情動のまま、暴力のように肉棒を打ち込むと、彼の最奥に白濁を吐き出した。
「〜〜んぅっ♡はっ……♡あ……♡」

「はぁ……っ、はあ……」

果てた自身をゆっくりと引き抜く。身体は行為により熱を持ち続けていたが、頭は妙に冴え、茹だるような情欲は何処かに霧散してしまっていた。

「人木さん……、もう一回……。もう一回したいです……」
未だ熱を持て余すように、甘ったるい声でビジョンが強請る。その様子を、どこか冷めた頭で聞く自分の存在を自覚する。

「嫌だ」
「もう、今日は疲れたから終わりにしたい」
思っていたよりも声のトーンが低くなり、冷たく言い放ってしまった事に自分で驚く。

「あ……」
「ご、ごめんなさい。人木さん」
「今言った事は気にしないでください……」

こちらの明らかな拒絶に向こうは萎縮したようだった。可哀想だと申し訳なくなる気持ちと裏腹に、余計な事を頼んで来たのはそっちなのだから元はと言えばお前のせいだと酷い考えも浮かぶ。

「シャワー、浴びますか……?」
「別に、今日はもう着替えなくていいだろ」
後処理をティッシュで軽く拭う程度にさっさと済ませると、今日はもう店仕舞いだと言わんばかりに先に布団に潜り込む。
「えっと、汚れてしまったので、上着だけでも脱ぎますね……」
俺の方から着て欲しいと頼んだはずなのに、ビジョンがコートを脱ぎ、スラックスを履き直す様子を感情無くぼうっとただ眺めた。
「それじゃあ、今日はもう寝ましょうか……」
遠慮がちにおずおずと布団に入ってきたビジョンを、待ち構えていたかのようにがばりと抱きしめる。拒絶したばかりであるため理屈の通らない、衝動的なものだった。

「……」

ビジョンも俺も、何も言わなかった。こちらの不審な態度について問われるような事も、背中に手が回される事も無かった。ビジョンの胸元に顔を埋め、彼が一日着ていたはずのワイシャツを嗅いだが、衣類洗剤だか柔軟剤の香りしかしなかった。

(“レオ”も自分のものに、なんて馬鹿な事考えるんじゃなかった)

ビジョンは俺のものだから取らないで!と周囲の人々に対して、駄々っ子のように喚けたら、いっそ清々しいのかもしれない。そんな非現実的な事を思う程には自分でもどうしたいのか考えが上手くまとまらず、しかしビジョンから離れる事はせずに、そのまま目を固く瞑ったのだった。


※参考にした壁打ち

・2025/01/06 互いの服を着たりごっちゃになったり&仕事着でシたいと誘う人木
・2025/01/07 ♥結局コスプレは好き?&どんなプレイが好きなの
・2025/03/08 ♥スる時服は着たままが良い?